生産状況リアルタイム監視システム構築プロジェクト

1人の社員の熱意から始まったloT活用プロジェクト

工場で稼働する膨大な数の生産用機械
正常に稼働しているかは各機械の稼働ランプを見ないと分からない

そんなアナログな状態に、loTを使って解決できないか
1人、2人、3人と社員が立ち上がった

プロジェクトメンバー

  • サポート部門、マネージャー

    柴田 直紀(しばた なおき)

    2008年入社

    プロジェクトマネージャー。クラウドやデータ可視化などソフトウェア系を担当。

  • サポート部門、
    シニアスーパーバイザー(主任)

    吉永 祐貴(よしなが ゆうき)

    2016年入社

    プロジェクトの発足人。センサーなどハードウェア系を担当。

  • サポート部門 ITチーム、
    プログラマー

    Somruthai Akkachan(ソムルタイ アッカチャン)

    2016年入社

    第2ステップである携帯端末との連携から参加。

プロジェクトの目的

当社には生産用の機械が約800台あり、その機械の稼働状況は、現場で人が機械の稼働状況を直接見るしか方法がありませんでした。そのため、機械が止まってから、機械の異常が現場の管理者に上がってくる間に結構な時間がかかります。そこで、今流行りのIoTを使ってリアルタイムに状況を把握できるシステムを構築することで、膨大な数の機械の稼働状況を一目で管理し、より素早く経営判断をできるようにすることが今回のプロジェクトの目的です。

1人の社員の挑戦から、社のプロジェクトへ

私は元々製造部門にいまして、センサーによる機械稼働状況の取得を1人で実験し始めたのがプロジェクトの始まりです。
センサーにより機械の稼働状況を判断し、そのデータをインターネットに送るところまではなんとか1人でできましたが、その後のデータのビジュアル化の方法が分からず、IT部門にいる柴田さんに相談に行きました。
すると私の話に柴田さんが大変注目してくださり、データのビジュアル化の部分を柴田さんが担ってくださるようになりました。
その後、「これは会社として取り組むべき」と、社内で私達がしていることを説明する場を設けてくださり、そこから会社のプロジェクトとして正式に認められるようになりました。今は部署も移動となり、柴田さんの元で一緒に仕事をしています。

試行錯誤を繰り返したセンサー選定

まず、機械の稼働状況を判断する「センサー」の選定ですが、20以上のセンサーを試し、その中からピックアップして実験を行いました。
最初に実験したのは接触式のセンサーで、
対象物にセンサーが接触する度にカウントして情報を送るというシンプルなものです。
しかし、接触式だとどうしても当たった瞬間に少し動いて誤差が発生しやすいということと、寿命に大きな心配がありました。
次に赤外線を使った非接触式を試しました。しかし赤外線だと油の多い工場の環境では反射の変化によって誤った計測をしてしまうので、赤外線も厳しいという判断に至りました。
「もっと誤差が少なく測れる方法はないか?」と、非接触式に絞り検討している中で思いついたのが、「電流センサー」でした。電流センサーも多少の誤差がありましたが、適切な回路設計とプログラミングによって、安定して出力が取れるようになりました。ここまでに半年くらいかかりましたね。

手探りで始めたデータの可視化

次に、センサーで得たデータを可視化する作業ですが、データをどこにどう送って、どういう方法でビジュアライゼーションにしていくか、当初は全く見当がつきませんでした。
いわゆる世の中でよく言われている「IoT」ということはなんとなく分かっていましたが、どのようなアプリケーションを利用すればいいのか、何から始めればよいかスタートから右も左もわからず、本を読んだり、ネットで調べたり、手探りで進めて行きました。
MicrosoftのAzureというアプリケーションがあることを知り、使うことを決めましたが、当時はAzureの概要ページを見ても何を書いているのか8割型分からず、そこからまた本を買い、ネットで調べ、実際に自分で使ってみるところから始めました。
「これじゃない、こちらを使おう」と繰り返していくうちに、徐々に形になっていきました。ある程度できたところで分からないところがあり、Microsoftに問い合わせたのですが、基本的にこういうプロジェクトはIT屋さんがする仕事ですので、「製造業の素人がこんなことしているのは初めて見た」と、とても興味を持ってくださいました。それからは協力もして貰えるようになり、月に1回くらい来てくださっています。

第1ステップ完了間近、そして社内の「期待」のプロジェクトへ成長

現在は、第1ステップとして、機械ごとにつける小さなコンピューターで、緑、黄、赤の信号を送り、インターネット経由でそれを一元管理することにほぼ成功した段階です。
まだ完成報告には至っていませんが、社内の期待は大きく膨らんで来ていて、「早くやってくれ」とか「いつできるんだ」とか、嬉しい声をよく聞きますね。

また、社内から「機械が止まった原因を携帯端末から入力できるようにして欲しい」という当初予定していなかった機能などについても要望が出てきています。
業務記録についても今はチェックシートの紙で「何時何分何をしました」と書いて管理していますが、それを電子データで送って管理できるようになればなど、他の業務管理への応用の話も出てきたりしています。

第2ステップ始動、そして更なる挑戦へ

プロジェクトとしての第2ステップでは、携帯端末からのデータ入力によるペーパーレス化に取り組んで行きますが、マシンラーニングという機械学習も少しずつ取り入れデータ分析を進めています。将来的にはデータ集計分析処理自動化により、AI(人工知能)がエラーの原因を判断できるようになればと考えています。
また、当システムにより正確な稼働状況がわかるようになり、これまで知ることができなかった新たな発見もありました。社内にはまだまだ活用できていない、眠っているデータが多くあるため、それらのあらゆるデータを集約し、経営判断に有効な指標にできるようにしていきたいと考えています。
世界一を目指す旋盤加工会社として、それに相応しい世界一のシステムを作り、会社の発展に貢献したいです。それには多くの課題がありますが、その過程も存分に楽しんでいきたいと思います。

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